Ahead of the Curve -日本から世界へ-

~日本、世界、社会を考えるブログ~

日本酒道 1

唎酒師の資格をとってしばし時が流れた。予想していたよりも遥かに骨の折れるテストだったし1000年以上の歴史がある飲み物だ、歴史が語るコンテンツも豊富だ。とはいえ、思考を停止していると折角覚えた知識も食卓に活きないので、復習も含め時折日本酒について書きたいと思う。

 

まずは基本から。日本酒はおおきく4つのカテゴリーに分類ができる。

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 熟酒(じゅくしゅ)

読んで字のごとく、熟成したお酒。3年程度熟成したものは褐色になる。濃厚な味わいが多く味の濃い料理と合う。ファアグラや豚の角煮など濃厚な料理と相性がよい。赤ワインのフルボトルのような感じ。


醇酒(じゅんしゅ)

果物系の香りは少ないもののコクのあるお酒。特に、醇酒は燗(お酒を温めること)にして飲むとその旨さが引き立つ。乳製品の料理との相性が良く、旨みや香りの強い食事と合う。


薫酒(くんしゅ)

「華やかな香りと爽やかな味わい」のタイプで、香りは華やかで果実や花の香りが高く、爽やかさを感じさせるお酒。吟醸酒や大吟醸酒など、米の外側をたくさん削って精米歩合を高めた酒が薫酒に当たる。風味の強い料理にはあまり向かないと言われている。

 

爽酒(そうしゅ)

軽快で滑らかなタイプ。香りが少なく軽やかな味わい。ほのかな甘味とフレッシュ感のある酸味が特徴で、心地良い苦味が微量にある。白魚や野菜を使った料理、蒸した料理などに合う。

 

最近はやっている獺祭なんかは、すごく爽やかな香りと味わいがする。この4象限で考えると薫酒にあたるかな?お肉よりは、白身魚、三菜のてんぷら、貝のワイン蒸しなどと合うお酒となりそうだ。

 

最近は、香りの強い薫酒が飲食店で多く目にするようになったと思う。爽やかな香りからファッション性もあるし、ワイングラスで飲んだりもしてマーケティングとしては若い人に訴求しやすいカテゴリーだと思う。

 

でも、そんな特徴のあるお酒でも、不適切なものと合わせると本来の相性を逸脱し奇妙な味になってしまう。衰退市場である日本酒産業では、消費者は当然上記の知識なんて持つはずがない。初めて飲む人も多いだろうし、その初めての印象はその後を確実にドライブするよね。日本酒市場を再興するためには、提供者がしかと日本酒を消費者に”おいしく”届ける必要があると思う。何でもかんでもワイングラスでかっこよく飲んでいれば良いというわけでない。このような視点で日本酒を扱っているお店をみると、そのお店がどれだけ自分が扱う商品を勉強しているかを垣間見ることができるかもしれない。