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M's diary - 日本から世界へ -

~日本、世界、社会を考えるブログ~

日本酒道2 - はじまり -

日本酒・酒

1994年にフジテレビで「夏子の酒」というドラマが放送された。当時まだ少年だった僕にとってはそのドラマのストーリーそのものよりも、地元新潟(当時の和島村)が舞台になったことが何よりも注目だった。「和久井映見が地元で撮影している!!」。そんなミーハーな感覚しか持っていなかったように思う。

 

20年近くが経過しようとしたときに、ひょんなことから「夏子の酒」のコミックと再会することとなった。大人になって様々な社会を経験してきてその本を読んだ時、少年時代の印象とは異なる大きな衝撃を受けた。そのコミックから日本が歩んできた日本酒の歴史、雪国が歩んできた日本酒の深い歴史とドラマを学んだ。実際に「夏子の酒」は史実をベースとして生まれた物語だ。

 

土地柄、生まれた時から日本酒があまりにも身近だったために日本酒のことを深くは考えたことは一度もなかった。実際新潟の人はとにかく日本酒を飲む。とりあえず「生」、ではなくとりあえず「日本酒」という感じ。母乳も日本酒だという噂もある。(ウソ)。案の定、酒蔵の数も全国一だ。普通に近所に酒蔵がある。とはいえ、僕にとって「夏子の酒」が日本酒の歴史と産業、そして将来を考えるようになった切欠になったのは事実だ。そしてその時新潟という酒処で生まれ育ったという事実も結果として感情の変化を後押しした。

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私的漫画世界|尾瀬あきら|夏子の酒

 

今日、日本酒産業は非常に厳しい環境にさらされている。国内の消費量は1973年をピークに3分の一になった。国民のライフスタイルも変わったし、そもそも若者はお酒を飲まなくなった。そして時同じくして、国内のビール、海外のワインに勃興により、日本酒は根こそぎ市場を取られた形だ。「日本酒は、ベトベトして飲むと頭が痛くなる」そんな悪いイメージが先行した。

 

でも、そもそも「本当にまずいのか?」という思いがあった。それから少しずつ勉強を始めたし、様々なイベントに参加するために全国を行脚した。そこで素直に思ったことは「美味い酒は、想像以上に美味い」だった。

 

そしてこう思ったんだ。

Arbitrage (=情報のギャップ、裁定機会)が存在する。

 

つまり、多くの日本人は添加物の大量に入った安いお酒に対する悪いイメージを持つ一方で、美味しい日本酒の存在すら知らない。でも美味しいものがある以上、適切に届ければ理解できるはずだし、もしそれが成り立てば消費の向上、蔵の経営の安定、ひいては日本文化の継承につながると思った。そして、その視点を世界に向ければ市場は果てしなく大きい、と。

 

そう思って日本酒というものと事業としてかかわるようになった。

原点はここにある。

 

その後、その産業に足を踏み入れ、多くの壁にぶつかっていくことになる。それはまた後述したい。

 

おそらく最近の若人はこのコミックの名前すら聞いたこともないと思うけれど、是非読んでもらいたい作品だ。ひとまず、騙されたと思って「夏子の酒」を大人買いください。

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