現在、香港国際空港でこのブログを書いている。3日の滞在だったけれど、様々な人と会い、様々なマーケットに訪れ、様々なものを食した。あくまで仕事だったわけだけど、香港づくしの3日間だった。
総括として、率直な感想は、1年前に比べて明らかに街全体の消費意欲が減退している。とりわけマーケットにおける中国人の影響力の減少は顕著だった。具体的な統計は見ていないが、少なくとも肌感覚として去年のバブルの面影はなかった。
例えば、チムサッチョイにあるカントンロード(写真)。このストリートは、世界各国の高級ブランドが並び世界で最も“稼ぐ”ストリートと言われている。
実際、ここの店舗が各ブランドの中で世界最大売上のブランドは数多いと聞く。昨年同時期にこのストリートを訪れた時は、中国人でごった返していた。各ブランドの前に中国人の長い列ができて、なんと入場制限までしていた。
店内に入れば正に“爆買”の様相を呈していた。1年たった今、「国敗れて山河あり」ではないけれど、随分と“トーン”が落ちていた。今日あの行列を見ることはできない。これは、香港というという街の始まりの終わりではなく、間違いなく終わりの始まりの一現象だと思う。
香港が中国に返還されたのは1997年。既にあれから20年が経過しようとしている。そして約30年後の2047年には現在の一国二カ国制度を終了し完全に中国に統合される。現在、世界で最も賃料が高いといわれるほどに活況を呈した香港。しかし、残念ながらこの街のピークは昨年だったに違いない。これからの旅路は下り坂を少しずつ降りていくことになるだろう。そしていつしか香港のポジションは上海に奪われていく運命にある。僕はそう考える。
歴史の中の多くの波に翻弄されてきた街、香港。欲望も絶望も成功も失敗もすべてこの街に存在する。数え切れない喜びや悲しみがこの光をつくっている。そんな街が作るこの夜景にいつも僕の心は揺さぶられる。
<チムサッチョイから眺めた香港島>
さぁ、日本へ帰国だ。
旅は始まったばかり。