Ahead of the Curve -日本から世界へ-

~日本、世界、社会を考えるブログ~

勝つことの難しさ

今年の夏の甲子園にも多くのドラマがあった。僕の母校も60年ぶりに新潟県の決勝まで進んだこともあり、今年は、例年よりも熱く甲子園の熱闘に見入った感がある。高校生達が白球に全てを賭けて挑むその姿は、いつも僕たち大人を熱くさせてくれる。情熱とは、世代を超えて伝染する。

 

今年の注目は何と言っても金足農業の躍進だったと言えよう。公立高校として、そして全員が地元秋田の選手で構成されたこのチームの躍進は、日本全国を熱くさせた。吉田投手という才能ある選手の貢献が大きかったことは言うまでもないが、チーム力無くして甲子園の決勝までは行けない。公立でも勝てる。雪国でも勝てる。また一つ甲子園の歴史に感動を刻んでくれた。

 

全国のメディアが金足農業や、吉田投手に注目する中で、僕は大阪桐蔭のことを考えていた。今年の大阪桐蔭はこれまでになく強いと。

僕の知る限り、メディアは金足農業の躍進ばかりを報じるばかりで、昨年大阪桐蔭に何があったのかを語るところは皆無だった。

  昨年、夏の甲子園の三回戦。大阪桐蔭対仙台育英。大阪桐蔭が一点リードで迎えた9回裏ツーアウトでの出来事。勝利をつかんだと思ったその瞬間、桐蔭のファーストは大きなミスを犯した。アウトになるべきボールは、結果セーフに。一度掴んだと思った勝利は幻だった。そして仙台育英はサヨナラヒットへ。その時のマウンドにいたのは当時二年生だって柿木投手。その時の彼の顔が印象的だった。

 

その夏の敗戦から、大阪桐蔭の躍進は始まる。今年の春の選抜甲子園で優勝。そして今年の夏も頂点に立った。柿木投手は優勝投手へ。

 

物語にはいつも裏のストーリーがある。でも、金足農業への賛美とは裏腹に、大阪桐蔭や柿木投手のストーリーはメディアには語られなかった。全国から集まった一流選手で構成された大阪桐蔭は強くて当たり前と揶揄すらされる中で、しかと結果を出す大阪桐蔭は凄い。期待通り勝つということは、決して易しくはない。常勝するということは何よりも難しい。昨年の悔しさをはねのけ、優勝を手にした大阪桐蔭の選手、そして柿木投手に拍手を送りたい。プロに行ってまた、子供達に夢を見させてあげ欲しい。