Ahead of the Curve -日本から世界へ-

~日本、世界、社会を考えるブログ~

長期投資

日本の金融業界に対して一つ面白い記事があったので、ここで論じておきたい。

曰く、ウォーレン・バフェット氏に代表される長期投資が成り立たなくなったのではという記事。くしくも僕自身その長期投資を日本で普及させるべく、かつて資本市場の中で生きていた時代があった。

結論を言おう。「長期投資」の本質は何も変わらない。時代を超えて生き続ける投資戦略である。

 

さて、少し文明というものを考えてみよう。

文明の発展とは、今日に限らず常に非連続に起こってきた。人力から馬力へ。そして人間の行動範囲は広がった。船による貨物輸送が発明されてから、人間の行動範囲は更に広がった。羅針盤の開発から人間は大航海時代を迎えた。市場は村から、地域へ。そして地域から世界へと発展した。そして、蒸気機関の発明により英国から産業革命が始まった。自動車の発明により、人間は個人単位のモビリティーを得た。通信機器の発達により遠隔地とのコミュニケーションを可能した。そしてビル・ゲイツ氏によるWindowsの開発により世界にIT時代が幕を開けた。そしてスティーブ・ジョブズ氏によるスマートフォンの誕生は、世界のコミュニケーションの形を一変させた。

この産業構造の変化の中で、金融市場にも大きな非連続を人類は経験してきた。16世紀のオランダで発生したチュールップバブルを始めとし人類は様々なバブルを経験してきた。近年では、1987年のブラックマンデー、90年代の日経平均のバブル、その後のITバブル、そして2008年には世界を混乱へと導いたリーマンショックへと続いていく。その都度、多くのメディアが論じた。「時代は変った」、「過去のやり方は通用しない」。でも大局的に振り返れば、人類は数百年も前から同じことを繰り返している。時代は変わっても人間は変わらない。

 

伝説の投資家ジョン・テンプルトンは言う。

The four most expensive words in the English language are "this time it's different."

最も高くつく4つの単語とは、"this time it's different."、すなわち「今回は違う」という錯覚が、結果、投資収益に大きな損失をもたらすと。そう、文明に進化があっても、産業構造に大きな変化があったとしても、変わらないものがある。それは人間の本質だ。「豊になりたい」という人間の本質は何も変わらない。これまでも、これからも。社会がどうなっていくのか?時代がどうなっていくのか?地球がどうなっていくのか? ”時代を読む”ということ。それが長期投資であり、その本質はこれまでも、これからも変わらない。長期投資とはこれからも有効な投資戦略である。それが僕の見解である。

 

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