Ahead of the Curve -日本から世界へ-

~日本、世界、社会を考えるブログ~

アナログビジネスの希少性

先日、ヤマダ電機が5月中に国内40店舗をいきなり、しかも一斉に閉鎖することが発表された。そのスピードには少し驚きもしたが、急速に発展したビジネスが飽和期を迎えるのは時間の問題。「やがて来る道が来た」とも言える。

 

この背景には、限れた国内市場においてもう十分に普及したという事実に加え、競合各社のインターネットビジネス・オンライン販売の急速な普及が影響していることは言うまでもない。同じ”モノ”を買うならば、理論上、人件費の低いあるいは人件費がほとんどないインターネットの上代が低くなるに決まっている。

 

現実的にはインターネットが提供する利便性(品揃え、短納期)により、オフライン(実店舗)プライスより多少高くても購入してしまったことは、皆さんも多いのではないでしょうか?僕も実際いつの間にか”ワンクリック”で沢山の本を買ってしまい、そのせいで本棚には多数の本が新品のままで眠っている。

 

では、オフラインの競争力とは何か?

 

上述のヤマダ電機を例に挙げれば、店員の丁寧な説明や、購入後のサポートがオフラインビジネスの付加価値であり、それがヤマダ電機の成長の原動力で合ったことは周知の事実。しかし、その付加価値も、インターネットがもたらす利便性を前にして縮小したということではないだろうか。また、実際多くの家電量販店の店員たちも、丁寧に説明するし、つまりは、ヤマダ電機の付加価値戦略も決して高かったわけでないと思う。発展途上期ならまだしも、成熟した経済において、同じモノを同じように売っていれば、消費者は合理的な判断へと収束する。

 

インターネットビジネスは、今後更に進化・拡大していくだろう。ハード(モノ)を売るビジネスに加え、金融、教育、コンサルテーションを始めとしたソフトを販売する事業もネットビジネスにおいては既に十分普及しているし、これからも更にその市場に厚みを増していくだろう。その先に何が起こるのかは、僕には到底想像もできない。5年前に、今日電車に乗っている人々の殆どが”スマホ”をいじっている姿を誰が想像できただろうか。少なくとも僕はできなかった。事実、振り返れば、僕たちは5年に一度くらいのタームで過去には想像もできなかった、新しく・非連続な世界を経験してきている。

 

僕はその先に一つの仮説を持っている。ネット事業が普及すればするほど、デジタル化が進めば進むほど、逆に、アナログ的な、実際に手で触れ、感性に刺激を受けるような体験が、より高い希少価値を持つ世界の到来だ。(世界の優秀な人にはどんどん、ネット事業に突き進んでもらいたい、そこで熾烈でクリエイティブな戦いを繰り広げてもらいたい。僕の競合にはならないでもらいたい。)

 

今日、香港の事業において、僕はそんなことを考え、ゼロから1が生むための試行錯誤をしている。単なる飲食事業をしようとしているわけではない。

 

その先の事業戦略については、またここに記していきたい 。

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