ちょうど1年前に書いたブログを読み返すと、当時の苦境が昨日のことのように蘇る。初めての海外での出店では本当に失敗ばかりだった。失敗は成功の母とのも言うが、そんな悠長なことも言ってられなかった。本当にドラマ・映画になるような苦境を強いられた。志をもって海外に挑んだけれど、その海外で実際にコトを動かしていくことは想像以上に大変だった。眠れない日々が毎日だった。
幾度もの艱難を乗り越え、6月19日に香港第一店舗は産声を上げた。半年遅れの開店だ。それもギリギリかつスレスレの開店。正直言おう。準備など整っていなかった。売上を作っていかなければ、そうしなければキャッシュがもたないというギリギリの決断だった。その後にも、全く想定外の問題がおこり、7月に店舗を3週間も閉じなければならなかった。無論、その3週間、固定費は無秩序にかかってくる。万事休すだった。
そこで神風が吹いた。影響力あるメディアに取り上げられた。そこから快進撃は始まった。web、予約システムの構築、そしてそれ以上に店舗で想像力にあふれたメニュー開発と実践が進んだ。香港のグルメ家たちは応えてくれた。少しずつ予約もうまり始めた。評判が評判を、口コミが口コミを。今では3ヶ月先までご予約をいただくことにまで成長した。9月に新しいメンバーが加わった。11月には新しいメンバーがシェフとして参戦してくれた。来年の1~3月には、さらに数名を予定している。こうして同志が増えていくことは心強いし、何より、お客様がこうしてご支援くださることは本当に感謝しかない。
でも、本当の試練はここから始まる。最初の物珍しさを超えて、飽きられることなく半年、1年、そしてその先にかけて持続的に成長していくこためには、常にレベルアップしていくこと。それ以外にはない。香港という街はそんなに甘くはない。弱肉強食の街である。
日本酒という文化・歴史に深く根付いたものを世界へ届けるという夢は良い。ここに賛同しない日本人は少ないだろう。でもそれは想像以上に難しい。だからこれまで世界に届いていはない。でも、だからこそ成長可能性があるとも言える。文化・歴史に根ざしたエモーショナルな商品を、グローバルビジネスにつなげていくこと、すなわちそれは日本の地方社会を世界経済につなげていくことである。僕たちのそのミッションはまだ始まったばかり。
2016年を更なる飛躍の年へ
日本から世界へ