Ahead of the Curve -日本から世界へ-

~日本、世界、社会を考えるブログ~

民主主義

It has been said that democracy is the worst form of government except all the others that have been tried./ 民主主義は最悪の政治形態だ。ただし、これまでに試されたすべての形態を別にすればの話であるが。 Winston Churchill/英国元首相

EUからの離脱が決まり世界市場は揺れた。でも、選挙結果を受けてイギリス人の心も同じように揺れていた。「まさか本当に離脱するとは思わなかった。後悔している」と。愛国心の高揚から英国の離脱に投票した人も沢山いたとは思うけれど、実際に結果がでて我に返ったということだろう。実際、客観的な視点として、英国のEU離脱は多くの不利益を英国にもたらすと思う。経済の源はいつの世も「人、モノ、カネ」。EU内を動き回っていたこの経済三要素には、関税やビザの取得の必要性当、必ず障壁が生まれてくるだろう。そう、合理的に考えれば英国はEUを脱退すべきではない。一時のナショナリズムの高揚がエコノミクスに勝った、勝ってしまったということだと思う。

 

民主主義って恐ろしいなと思う。真剣な人も、そうでない人も同じ一票を持ち、群集の高揚は時として思わぬ結果を生んでしまう。逆も然り。合理的に考えて絶対に変化が必要だというのに、変化を嫌う人が多ければ民主主義の下では変化は起こらない。日本の農業とその票田は正にその象徴だ。

 

以前、日本でも「日本の将来」を問う大きな選挙があった。大阪都構想を問う選挙だ。僕は個人的に前大阪市長の橋下さんを応援していた。凄い人だと思っている。道州制の導入、「大阪から日本を変える」という熱い思いで事を起こした。そしてその礎となる大阪都構想の是非を問う選挙でもう少しで勝ちそうなところまでいった。これだけ新しいことに保守的な日本人をあそこまで動かしたわけだ。結果的に橋下さんの願いは適わなかった。でも、僕は、道州制という名にこだわらず、日本が中央集権から脱皮しドイツ連邦共和国のようにそれぞれの地域が独立的に政策立案・実行していくことこそが、この老い行く日本が世界経済の生き抜くための数少ない施策の一つだと思っている。しかし、民主主義の中ではそう思わない人、あるいは現状が好ましいと思う人がいる。そしてその数が多ければその意見が国を動かすということだ。これが民主主義だ。

 

 橋下さんがこんなことを書いている。

【橋下徹の「問題解決の授業」Vol.11】より引用

都民にとっては最悪の状態。次の新知事は、東京オリンピック直前に選挙を迎える。都知事選挙くらいの大きな選挙だと1年前くらいからソワソワし始めて、もう3か月前だと選挙のことで頭がいっぱい。新知事は、自分の選挙のことを考えながら、東京オリンピックのホストを務めなければならない。せめて舛添さんの辞任は9月末にしておいて、新知事が東京オリンピックのホストに集中できるようなスケジュールにすることはできなかったのかな。

 それでも誰一人血を流さず、都知事という強大な権力者の首を飛ばすことができる民主主義国家の体制は、それ以外の国家体制よりもずっとましだな~と感じました。これ、国が国なら殺し合いとなって、何の罪もない子供たちの命まで奪われる事態になりますからね。

 都知事クラスの権力者の首を飛ばそうと思えば、民主主義の国以外ではとんでもない暴力行為が行われます。今回のドタバタ劇はアホくさーと思われる方が多いかもしれませんが、これは民主主義万歳の結果ですよ。

 

最後の部分。確かになと思う。たとえ結果的に想定とは異なる結果になったとしても、民主主義国家では暴力は起こらない。戦争は起こらない。その視点で考えると民主主義国家に生まれ、生活をできていることにまずは感謝だよね。英国人だって同じ。

 

英国の国民投票の結果はあくまで国民投票、法的拘束力を持たない。つまり、次のステップは議会での討議だ。しかし民主主義国家として英国の面子をつぶさないためにも英国議会で否決されることないだろう。やがて英国はEUを離脱することになるだろう。

 

英国の決断と今後の歩みは、我々にとっても道標となる。日本人として今後の選挙に活かして行きたいものだ。

 

It has been said that democracy is the worst form of government except all the others that have been tried.

 

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