Ahead of the Curve -日本から世界へ-

~日本、世界、社会を考えるブログ~

Good to Great

「Good to Great」という本は聞いたことがあるだろうか?これは世界的なベストセラーになった「ビジョナリーカンパニー」の原書のタイトルだ。僕が初めて「ビジョナリーカンパニー」を読んだのは、「Good to Great」だった。

 

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 <ビジョナリー・カンパニーとは? 要約や感想、書評を公開より> 

『ビジョナリー・カンパニー』の要約と書評

ビジョナリー・カンパニー ― 時代を超える生存の原則

ビジョナリー・カンパニー ― 時代を超える生存の原則
ジム・コリンズ (著), ジェリー・I. ポラス (著), 山岡 洋一 (翻訳)

『ビジョナリー・カンパニー 時代を超える生存の原則』は、経営者が入れ替わった後も長期にわたって成長し続ける企業の特徴を洗い出した本です。

著者のジム・コリンズは多くの企業を分析した結果、下記のような結論に達しました。

『ビジョナリー・カンパニー 時代を超える生存の原則』の要約

1.起業時に、すばらしいアイデアは必要ない
ソニーにしても、ヒューレット・パッカードにしても、起業時にすばらしいアイデアは持っていなかった。試行錯誤の末、アイデアは偶然見つかるものである。
2.カリスマ経営者は不要、生え抜き経営者が必要
カリスマ経営者の場合、新しい経営者に経営を引き継いだら業績が落ちる。大切なのは優秀な経営者を継続させるために生え抜き経営者を育てること。
3.利益の最大化だけでは不十分
ビジョナリー・カンパニーは比較対象企業に比べて、利益だけでなく理念も同時に追求している。また、大切なのは理念に書いてある中身ではなく、組織全体が理念をどれだけ追求しているかである。
4.会社が最高の作品である
たとえばウォルト・ディズニーにとっては、アニメやディズニーランドは作品ではなかった。彼にとって、最高の作品とはディズニー社そのものだった。
5.社運を賭けた大胆な目標がある
業績をのばす促進剤として、ビジョナリー・カンパニーは社運を賭けた大胆な目標をかかげる。それによって組織のやる気を引き出す。
6.カルトのような文化がある
ビジョナリー・カンパニーは価値観が合う人にとっては最高の職場。しかし、価値観が合わないと病原菌のように追い払われる職場でもある。
7.大量のものを試して、うまくいったものを残す
3M社の技術者は労働時間の15%を研究開発にあてる。そこから予想しなかった革新を産み、新商品の開発につなげる。成功には多くの失敗が必要である。
8.決して満足しない
ビジョナリー・カンパニーは安心感を目標にしない。むしろ社内で不安感を作り出し、改善をうながす環境にしている。

この本では、偉大な企業のレシピが書かれています。もちろん、このレシピは結果論と言えば結果論です。が、膨大なデータから導き出された結論なので非常に信ぴょう性が高いと言えるでしょう。

『ビジョナリー・カンパニー2』の要約と書評

ビジョナリー・カンパニー 2 - 飛躍の法則

ビジョナリー・カンパニー 2 – 飛躍の法則
ジム・コリンズ (著), 山岡 洋一 (翻訳)

『ビジョナリー・カンパニー2 飛躍の法則』は、ある時をさかいに急に業績をのばした企業を分析したものです。その飛躍の瞬間に、何がビジョナリー・カンパニーの中でおこなわれたのかがまとめられています。

『ビジョナリー・カンパニー2 飛躍の法則』の要約

1.個人としての謙虚さと、職業人としての意思の強さ
経営者の我が強い会社は低迷が続く。一方、ビジョナリー・カンパニーの経営者も野心的だが、その野心は会社に向けられていて、自分には向かっていない。
2.適切な人を組織に入れる
ビジョナリー・カンパニーは目標を決めてから、それに見合う人を組織に入れて“いなかった”。驚くべきことに、適切な人を集めてから目標を決めていた。
3.厳しい現実を直視する
ビジョナリー・カンパニーも他の企業と同じくらい逆境にぶつかっている。決して幸運なわけではない。厳しい現実を直視し、逆境に向かい合っていただけ。
4.3つの円が重なった部分(ハリネズミの概念)に集中する
(1)情熱をもって取り組めるもので、(2)自社が世界一になれる部分で、(3)経済的原動力になれる分野、という3つの円が完全に重なった部分(ハリネズミの概念)に集中する。
5.人ではなく、システムを管理する
ビジョナリー・カンパニーは規律の文化を作るが、比較対象企業は規律をもたらす暴君がいるだけ。前者は有益だが後者は有害であり、似て非なるもの。
6.新技術にふりまわされない
ITなど、新しい技術を使えば業績が上がるわけではない。前述した「4.3つの円が重なった部分」を促進する新技術だけが業績を伸ばす原因になる。
7.劇的な転換はゆっくり進む
劇的な転換が起きている最中に何か特別なことが起きているわけではない。今までの行動の蓄積によって、急にスピードが上がっているだけである。

意外なのは、業績が飛躍する瞬間に何かが起こっているわけではないということです。今までの積み重ねの結果、あるとき急に飛躍しているだけなのです。その積み重ねとは何か、そのレシピがこの本に書かれています。

『ビジョナリー・カンパニー3』の要約と書評

ビジョナリーカンパニー3 衰退の五段階

ビジョナリーカンパニー3 衰退の五段階
ジム・コリンズ (著), 山岡 洋一 (翻訳)

『ビジョナリー・カンパニー3 衰退の五段階』は、なぜ偉大だった企業が転落したり消滅したりしてしまうのかにフォーカスを当てた1冊です。ジム・コリンズは、企業は下記の五段階をへて衰退することを発見しました。

『ビジョナリー・カンパニー3 衰退の五段階』の要約

第1段階:成功から生まれる傲慢
自分たちなら成功して当然だと思ってしまうのが1段階目。幸運に恵まれたとか、今までの努力の結果だと思わずに、成功が無条件に続くと考えてしまう。
第2段階:規律なき拡大路線
持続不可能な成功を追い求めたり、今までと関連しない分野に参入したりする段階。権力や名声を追い求める社内政治がおこなわれることもある。
第3段階:リスクと問題の否認
良いデータを大きく見せ、悪いデータを小さく見せる段階。事実の裏付けがない大きな賭けにでたり、あいまいなデータにもとづいてリスクをとったりする。
第4段階:一発逆転策の追求
業績にかげりが出始めるため、特効薬を求める段階。新技術の導入、リストラ、他社の買収、一貫性のない新戦略などの対策をするが業績は回復しない。
第5段階:屈服と凡庸な企業への転落か消滅
経営者が戦いをあきらめるか、なんとか戦い続ける段階。以前とは比較にならない大きさの企業に転落してしまうか、消滅してしまう。

この本から分かることは、衰退の原因は「景気が悪くなった」とか「取引先が潰れた」という外部環境の変化ではない、ということです。意外なことに、全て経営者の行動や考え方が原因になっています。

『ビジョナリー・カンパニー4』の要約と書評

ビジョナリーカンパニー4 自分の意志で偉大になる

ビジョナリーカンパニー4 自分の意志で偉大になる
ジム・コリンズ (著), モートン・ハンセン共著 (その他), 牧野洋 (翻訳)

現代は「先行きが見えない不確実な時代」と言われています。そんな時代でも、なぜ一部の企業だけは業績を伸ばすことができるのでしょうか?

不確実な時代に中小企業からスタートして、15年以上にわたって同業他社を上回る実績を出した企業を、本書では分析してまとめています。

『ビジョナリー・カンパニー4 自分の意志で偉大になる』の要約

先駆者が勝者になるわけではない
業界でイノベーションを起こした企業が勝者になったのはたった9%だけ。たとえば、Amazonは本のオンライン販売の先駆者ではないが、勝者である。
スピードではなく規律が重要
ビジョナリー・カンパニーに共通するのは、スピードではなく規律である。彼らは意外なことに、追い風でも業績を伸ばしすぎないようにあえて自制していた。
テストが成功してから大きなリスクを取る
ビジョナリー・カンパニーは、比較対象企業に比べて小さなリスクしか取っていなかった。小さくテストをして、その成功を確認してからリスクをとっていた。
常に余裕を持つと同時に、危機をいち早く察知する
業績が良い時でも警戒をおこたってはいけない。リーダーは、どんなに先行きが明るいときであっても、急な逆風に見舞われることを想定しておく。
外部環境が変わっても業務のやり方を大幅には変えない
具体的で整然としていて一貫したレシピ(やり方)を決め、それを何十年にもわたって適用し続けよう。そのやり方は、たとえ外部環境が変わっても一部しか変えてはいけない。
幸運を活かすと同時に不運を避ける
ビジョナリー・カンパニーは比較対象企業に比べて幸運でも不運もなかった。幸運を活かすことと、致命傷になるような不運を避けることの2点が重要。

 

上記は「そうだな」とは思うけれど、実際に時代を生き残り続けることは相当に難しい。世界で600万部も売れた「エクセレントカンパニー」。でも、ここで紹介された殆どの会社は倒産や買収されるという運命を辿った。

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今、僕が手元で読んでいるのは、「レスポンシブルカンパニー」。環境や自然への配慮、そして従業員へのリスぺクトを謳う世界的なアウトドアブランド「パタゴニア」の物語だ。尊敬するべき会社だと率直に思う。

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会社には色々な形がある。それを学者はもっともらしく体系化したり、後講釈を並べたりする。本当に素晴らしい会社もあれば、運が良かった会社もある。まぁ、いろいろだ。

 

でも、時代によって消費者の好みも変わるし、時代によって政治も経済も大きく変わる。したがって、時代を通して勝ち続ける普遍的な仕組みは一つを除いてはない。

 

その一つとは、消費者を満たすために常に変化し続けること。そのためには、常に身体(会社のコストを落とし)を身軽にしておくことと。そして前例や過去に取った行動にとらわれず未来志向であることだ。それが「Good to Great」への道だ。

 

そう今自分に言い聞かせている。