Ahead of the Curve -日本から世界へ-

~日本、世界、社会を考えるブログ~

Departure

中国東北地方の旅が終わった。あっという間の1週間だった。大連、旅順、瀋陽、長春、そして哈爾浜(ハルビン)。電車で移動した距離は2000kmを優に超えただろう。この短期間でこれだけの都市を回れたことは、正に文明の利器のおかげだ。一つ一つの街に深い深い歴史があり、今があり、そして未来がある。非常にタイトなスケジュールではあったけれど、「エイヤ!」の思いでタイミングを探し、構想し、スケジュールし、このプロジェクトを完走できたことをまずは祝したい。

旅をしている間には毎日日記をつけた。そこではかつての日本と中国との歴史的な関係、そして現在へと繋がる因果関係を自分なりに描いたつもりだ。このブログを読んでいる方の中で、中国という国に興味を持ってくれたり、見方・考え方が変わったり、あるいは日本がかつて歩んだ道、満州国が辿った軌跡のことを考える切欠にしてくれる方が少しでいてくれたら、それは僕にとって喜びだ。

きっと、僕はこの満州という地、遼寧省、吉林省、黒竜江省に来ることはもうないかもしれない。まず、プライベートで来ることはないだろうし、仕事でもなかなかチャンスはないかもしれない。だからこそ、日本人として、日本がかつて夢を追い求めた大地を踏みしめることができたことは非常に意義深いことだ。

今回の旅を通して痛感したこと。それは中国という国の大きさだ。それは物理的な国家の広さもあるけれど、僕の意味しているものは経済的な大きさだ。もちろん、中国(とりわけ東北部)においては、衛生面やサービスの質をはじめとして多くの点で日本が“圧倒的”に先んじていることは言うまでもない。しかし、人々の消費意欲、そしてそのボリュームは日本を遥かに凌駕していることは紛れもない事実だ。大連の人口は700万人、瀋陽800万人、長春700万人、哈爾浜1000万人。こういった巨大都市が中国各地に100か所以上も存在している。そして中国の消費はこれから更に増加していくだろう。既に日本のGDPの2倍を超えて成長する中国経済は、近未来においてアメリカを抜き、世界経済を牽引する存在となるだろう。15億人ともいわれる中国という国が生み出す経済力を人類は無視することはできない。

そして、中国の特筆はその無尽蔵な消費の部分だけではない。実際に様々なイノベーションにおいても日本より先に行っている。例えば電子マネーの活用だ。今回、様々なレストランに行って経験したことだが、多くの人がwechat(微信)で決済を済ませている。お店がそのインフラを持ち、人々が既にそのライフスタイルをもっている。店員も「wechat(微信)でお支払いを」と平気に日本人である僕に話しかけている。その使用方法を知らない僕に対して、「日本人なのに?なぜ?」というくらいの表情をされたことが印象的だった。そう、中国とは爆買いだけの国ではない。テクノロジーやライフスタイルでも、少しずつ(あるいは既に多くの点で)、日本の一歩も二歩も先へ行っている。

中国という国が後進国である時代は既に終わった。思えば、人類が歩んだこの200年間は、西洋諸国が世界のリーダーであったが、それまでの数百年、数千年は、中国が世界経済のリーダーだった。歴史はひとえに繰り返しているだけなのかもしれない。この現実に対して、僕たち日本人は思考回路を変える必要がある。隣国に経済大国中国を持つということをしかと認識し、その地の利を活かして歩むことが、日本で生きる僕たちの営むビジネスや経済に大きなチャンスをもたらすと僕は確信している。

 

どうやら飛行機はもうすぐ成田空港に到着しそうだ。旅はここで終わりだ。大きな感動をもたらした中国に感謝すると共に日本にそろそろ到着だ。

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