Ahead of the Curve -日本から世界へ-

~日本、世界、社会を考えるブログ~

How you can negotiate to succeed in work and life

今日は一冊の本を紹介したい。僕がこれまでで最も感銘を受けた本10冊をあげよと言われたら、この本を紹介せずにはいられないだろう。ウォートンビジネススクールの教授であるスチュアート・ダイアモンド氏の著書「Getting More」だ。ダイアモンド氏の専門領域はずばり「交渉」。ウォートンスクールでもダントツの人気を誇る講座であり、僕自身も受講した経験を持つ。

 

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ポイントは一つ:「GET MORE」。

 

そのために交渉が存在し、そのためにこの本が存在している。ダイヤモンド氏の交渉のフレームワークは、以下のポイントで整理されている。ここだけ書き出すと抽象的にはなってしまうが、本章での内容は目から鱗だらけだ。ダイヤモンド氏曰く。少しだけ「GET MORE」するだけでよい。ただ、その積み重ねは大きなMOREとなる。

 

1、目標を定める

2、相手がすべて:「頭のなかの絵」を見る。相手が何を考え、何を求めているのかを理解する

3、「感情のお見舞い」をする。相手が何に共感し、何を嫌がるのか。相手の感情的心理を汲み取る。

4、状況は毎回ことなる。交渉に万能なツールはない。状況は都度変化する。

5、段階的に進める。急がない。

6、不等価な価値のものを交換する。例:人を紹介するから値引きを依頼。

7、相手の規範を調べる。相手の過去の発言。行動規範。

8、相手を操作せず、率直で建設的な態度をとる。

9、コミュニケーションを絶やさず、目に映るままを言葉にしビジョンを描き出す。

10、本当の問題をつきつめ、それをチャンスに変える。

11、違いをありのままに受け止める。

12、準備する:リストをつくり、それを使って練習する。

 

日本人社会においては、西洋とは異なり、周りの空気や慣習など、多くの暗黙知が意思決定を操作してることは否定できない事実だ。しかし、日本においても、もちろん交渉というものは様々なシーンで存在していることは言うまでもない。日々の仕事でコミュニケーション、ショッピングでの店員との会話、子供、恋人、そして友人との間でもきっと日々交渉は存在している。しかし、多くの人はそれをきっと交渉と認識せずに、流れ身を任せているではないだろうか?

 

交渉を「交渉」として認識すること。そしてそこに戦略と準備を設けるだけで、その結論が変わってくることをこの本では説いている。実際、僕自身もこの本を読んだコンセプトを実生活の中に当てはめ、多くの交渉で有益な結果に繋がったことは決して少なくない。しかもその有益な結果とは双方にとってだ。

 

どこか敷居が高そうに聞こえるこの「交渉」という言葉。しかし、日々の生活は交渉に満ちている。是非、ご一読ください。少しだけ「GET MORE」すればいいのだから。