Ahead of the Curve -日本から世界へ-

~日本、世界、社会を考えるブログ~

日本酒の高級化

日本酒には高級品がワインと比べて少ない。理由はいくつか考えられる。古くは各地域の蔵元で製造され、地元で流通し、地元の人に飲まれていた。そのことから適正価格で地元民に提供することを蔵元も良しとしていた。それが、所謂高級品が生まれにくかった一つの背景だ。でも最大の理由は、ワインのように古酒には適さないことにある(現実には、10年程度の古酒は存在し、それを好む人もいる)。つまり、ワインのようにvintageが存在しづらい。希少性から価格の上昇するワインとはvintageへの適性という点において大きくことなる。

 

近年、有名になった獺祭は、山口県の蔵元であることは知られているが、使用している酒米の殆どは兵庫県から仕入れている。製造工程も大量生産に応えるために、高度に精密化された工場で酒造りをしている。一般的にイメージするれ蔵元とは大きく異なる。もちろん、その製造工程では様々なノウハウを蓄積しているだろうし、実際、それにより、日本でもトップブランドをつくりあげた。しかし御幣を恐れずにいえば、米は外部から仕入れ、工場で製造ができてしまう(地理的な制約をうけない)のであれば、極論どこでも酒造りはできてしまうということだ(実際、水も運べばよい)。

 

そうなってくると、ワインのロマネテコンティーのように、絶対にその土地の土、気候、そして門外不出のブドウからしか作らないワインとは、希少性の点において大きく一線を画す。

 

さりながら、最近、下記のように日本酒でも所謂高級品(値段が高い)が少しずる生まれ始めている。もちろん、値段を高くすれば良いというわけではない。どのように他社、他商品と差別化し、いくらで売っていくのか?このあたりのマーケティング戦略は、活きたケーススタディーとして今後も注目している。

 

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