懐かしき味 大統領
大学生のころ、親父が東京に出張した際にはよく二人で、上野にあるもつ煮込み屋「大統領」に連れて行ってもらった。昭和25年創業の老舗だ。かつて新幹線がなかった時代は、現在の東京が遠距離移動交通の中心ではなく、夜行列車が終着する上野が中心だった。当時、新潟から東京の大学へ上京した親父にとっても懐かしい場所であることから、大統領は懐かしき場所であり、懐かしき味だ。
今日、20年ぶりくらいにプライベートで大統領へ訪れた。自分自身懐かしき場所であり、ワクワクしながら訪れたが、なんと古い本店は既に壊されて改装中。そして驚くことに、目と鼻の先に、支店である「もつ焼き大統領」が大型化して店を構えていた。月曜日の真昼間だというのに店は満席。異様な光景となっていた。懐かしき味を求めて、その待並ぶ行列に参戦した。
味はあの時と変わらない。親父は高齢化し足が悪くなり、なかなか遠出ができない身体になってしまった。でも、まだ身体がなんとか動くうちに一度おやじと二人で肩を並べてこの店に来てみたい。そんな思いがこみ上げた。昭和の思い出であり、親父のとの思い出が詰まったお店大統領。いつまでも変わらないでほしい。